田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

宅建士試験&賃貸不動産経営管理士試験の受験に役立つ情報を提供します。

宅地造成工事の設計をするには一定の資格が必要?

Q.宅地造成工事の設計をするには一定の資格が必要?

 

A.一定規模以上の工事の場合は資格が必要です。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

宅地造成等規制法とは?

昭和30年代以降の経済発展は、人口と産業の都市への集中を招きました。地価は高騰し、大都市周辺部の丘陵地帯の傾斜地が比較的地価が安いため各所で宅地造成が行われるようになりました。しかし、擁壁や排水施設が不十分で粗悪な宅地も多く造成され、昭和36年6月に日本全国を襲った梅雨前線豪雨により、特に横浜市、神戸市の丘陵地等の傾斜地における新規の造成宅地や宅地造成中の工事現場で、崖崩れ、土砂の流出を頻発させ、国民の生命・財産に多大な被害をもたらしました。そこで、昭和37年2月、宅地造成に関する工事等について災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命・財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする宅地造成等規制法が制定されました。

 

日本全国でこの法律が適用されるの?

されません。土砂崩れやがけ崩れが起きそうな場所に宅地造成工事規制区域が指定され、主にその区域内で適用されます。法律上の文言で言えば、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地または市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要がある場所に宅地造成規制区域が、都道府県知事により指定されます。

 

宅地造成規制区域内で工事する場合は常に許可が必要?

原則として、宅地造成に関する工事については、造成主は、その工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、開発許可を受けて行われる許可の内容に適合した宅地造成に関する工事については許可がいりません。そして、許可が必要な宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にするためまたは宅地において行う土地の形質の変更で、次の要件を満たすものをいいます。

  • 切土…切土部分に2mを超えるガケを生ずるもの
  • 盛土…盛土部分に1mを超えるガケを生ずるもの
  • 切土盛土…盛土部分に1m以下のがけを生じ、かつ切土と盛土をあわせて2mを超えるガケを生ずるもの
  • 面積…切土または盛土の面積が500㎡を超えるもの

許可が必要な宅地造成工事以外は自由にできるの?

たとえ許可がいらない造成工事であっても、宅地造成工事規制区域内において一定の行為を行うときは、都道府県知事への届出が必要となる場合があります。第一に、宅地造成工事規制区域の指定の際、すでにその規制区域内で宅地造成工事を行っていた場合、その指定があった日から21日以内に、都道府県知事に届け出なければなりません。第二に、宅地造成工事規制区域内の宅地において、擁壁等に関する工事を行おうとする者は、その工事に着手する日の14日前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。第三に、宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用した者は、その転用した日から14日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。

 

宅地造成工事規制区域以外は自由に工事ができるの?

造成された一団の宅地のうち、地震等によって地盤の滑動などの災害が発生する恐れが大きい場合は、造成宅地防災区域に指定されることがあります。どのような場合に指定されるかは宅地造成等規制法施行令19条に定められています。たとえば、盛土をした土地の面積が3000㎡以上であり、かつ、盛土をしたことにより、当該盛土をした土地の地下水位が盛土をする前の地盤面の高さを超え、盛土の内部に浸入しているものであるとか、盛土をする前の地盤面が水平面に対し20度以上の角度をなし、かつ、盛土の高さが5m以上であるものなどの詳細な基準が定められています。

 

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 20】 宅地造成等規制法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 宅地造成工事規制区域外に盛土によって造成された一団の造成宅地の区域において、造成された盛土の高さが5m未満の場合は、都道府県知事は、当該区域を造成宅地防災区域として指定することができない。
  2. 宅地造成工事規制区域内において、切土又は盛土をする土地の面積が600㎡である場合、その土地における排水施設は、政令で定める資格を有する者によって設計される必要はない。
  3. 宅地造成工事規制区域内の宅地において、高さが2mを超える擁壁を除却する工事を行おうとする者は、一定の場合を除き、その工事に着手する日の14日前までにその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
  4. 宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用した者は、一定の場合を除き、その転用した日から14日以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
正解:1
  1. × 造成宅地防災区域として指定することができる基準が宅地造成等規制法施行令19に定められています。その中の一つに「盛土の高さが5メートル以上であるもの」という基準があります。しかし、他にも要件があり、そのいずれかに該当すればよいということになっているので、盛土の高さが5メートル未満であるからといって指定できないわけではありません。
  2. 〇 問題文の通りです。一定の資格が必要となるのは1,500㎡を超えた場合です。
  3. 〇 問題文の通りです。
  4. 〇 問題文の通りです。

 

  

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うかるぞ宅建士きっちり要点整理の著者による紹介

うかるぞ宅建士きっちり要点整理の著者による紹介

皆様、こんにちは。

今年も装いあらたに2017年度版「うかるぞ宅建士きっちり要点整理」が全国書店にて発売されました!

2015年度版、2016年度版に引き続き、第3版目です。ありがたい話です。

さて、このブログでは、厚かましながら、著者自らうかるぞ宅建士きっちり要点整理の魅力を紹介するものです。自分で書いたテキストなんで、良いことしか書かないのでは?と思われるかもしれません。その通りです(笑)。良いことしか書かない(書けない?)のでご注意下さい^^;

まあ、自分でテキスト書いておいて、ここが悪いところ!とか書けないですよね。悪いところと分かっているなら、そこを改善して出版していますので。。。

2017年版 うかるぞ宅建士 きっちり要点整理 (うかるぞ宅建士シリーズ)

2017年版 うかるぞ宅建士 きっちり要点整理 (うかるぞ宅建士シリーズ)

 

 

基本原理や全体像まで書いてある!

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日建学院さんのテキストには、民法の基本原理、財産法を民事訴訟法的な観点から、原告主張内容と抗弁として被告が反論する内容という、わりと民法の基本書ではスタンダードな手順をまとめられていますが、それ以外のテキストではなかなか基本原理から書かないのが普通ですね。

宅建試験では直接的には出題されていませんが、年々民法の問題も高度になっているので、丸暗記で乗り切らず、ちゃんと基本原理と全体像を意識した普通の民法学習(大学法学部ではそうやって学びますね)も少しやっておくと、遠回りに見えて近道かも。

 

リーガルマインドを意識した作り

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これは絶対に大事!

法律は、タダの言葉の羅列じゃありません。体系です。

日本の民法は、ローマ法を編纂したヨーロッパの歴史学者達の研究を基に作られた論理体系がベースになっています。なんだか難しいこと話していますが・・・簡単に言えば、物事を解決するための手法を分類して、共通項を集めて作っています。大陸法とか呼んだりもします。

それに対して、アメリカやイギリスは、判例法という実際にあった事件をベースにケーススタディー的な法律システムを有する国です。英米法と呼んだりもします。

大陸法である日本の民法を学ぶには、これを意識しないとさっぱり理解できなくなりますのでご注意。意識の仕方にはいくつかあるのですが、その中でも重要な視点であり、宅建試験でも出題のポイントとなるのが、原則と例外の位置付けです。

どっちが原則なのかを常に意識しないと、膨大な量の法体系である民法の学習は必ず迷宮入りします。

 

最近の傾向にもばっちり対応

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最近の宅建試験の権利関係の問題は、ほとんどが判例からの出題。宅建業法はガイドラインにも載っていないような事例問題。法令上の制限は政令省令である規則や施行令の細かい条文の解釈から出題。といった具合に難問化しています。

問題が明らかに難しくなっているのに、テキストはペラペラで内容もペラペラのものもまだ見かけたりします。

もちろん、私の書くテキストは、合格することが最低限の目的ですので、しっかりと判例ガイドライン・規則施行令についても、出題が予想されるもの(実務で問題となっているものが出題されます)はしっかりと記述しています。

 

随所に登場するゆるキャラが楽しい

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うかるぞシリーズに登場するゾウさん。

明らかに銃刀法に違反する刃渡りの日本刀を脇にさしていますが、なかなか良いことを言ってくれていたりする。

項目の最後に、必ず登場するのが、「その手にはのらないゾウ」くん。侍のようなのだが、どうみても、旅芸人のアウトロー的な渡り鳥風。首からぶら下げている物が気になるが、実は、宅地建物取引士証をぶら下げている!

なぜ、そんなことまで知っているのかといえば、私が元の絵を描いていたから。ただ、私の絵はあまりにも下手すぎて、軽く却下されてしまったのだが。それはさておき、彼の右手から転げ落ちる丸い物体が気になるところだろう。受験本なのに、落ちるとは何事だ!と怒られるかもしれないが、あの丸い物体は、実は、国土交通省の役人をイメージして描いています。宅建試験問題を作る側という比喩なのだが、つまり、出題者のあの手この手の間違えやすい表現や出題方法にひっかからないように、事前に、ひっかけパターンを教えてくれるありがたい存在。

 

さらに、その下には、銃刀法違反どころの騒ぎではない、すでに抜刀している危険なゾウもいる。眉毛もキリッと吊り上がり、振り上げた刀をまさに振り下ろさんとしている。刑法的には実行の着手段階なので、殺人未遂レベルです。まあ、そんなことは良いとして、このゾウもなかなか良いことを言ってくれます。

学習の指針と題して、項目ごとに、重要度や優先順位を話しています。特に、優先順位を意識して書いたので、直前期には再度読み返して、優先順位の高い箇所が暗記できているかどうかをチェックするとよいだろう。

 

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実は、ゾウには仲間?家族がたくさんいる!

上の写真では、悲しいかなAのゾウは死んでしまったが、Bという配偶者だけでなく、Eという愛人までいたりする。愛人のEがニコニコしているのでちょっと怖いが。子供たちのCとDは可愛い!特にDは、ちょっと恥ずかしがり屋さんで、ほっぺが赤いです。

 

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そして、牛も登場します。右下は私の指です。

ゾウに比べて牛がかなりリアルです。採草放牧地にゾウと牛が歩いていたり、住宅地でゾウが歩いていたりする絵にしてみたらなかなか楽しそうだが、クレームが怖いのでやりません。

 

実務的な視点もわかりやすい

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たまに、実務をまったく無視したテキストもあったりします。まあ、そういうテキストはすぐに市場から消えてしまいますが。

宅建試験用のテキストなのに、意思表示の事例が、携帯電話の売買契約ってのも見たことがあります。不動産と動産、特定物と種類物で、民法上まったく法理論も解決方法も異なり、携帯電話などの場合は特別法やその規則施行令、関係省庁のガイドラインもあり、結論がまったく異なってくるのに、、、、知らないってのは恐ろしいですよね。面白いからとって、そんな作り話(というよりも嘘)をテキストに書いてしまうのだから、すぐに、そこら中からクレームが殺到して市場から消えてゆくわけです。

私のテキストは、項目ごとの最初に、実務的にはどのような段階・場面で問題となるのかを、1~2行でまとめています。すでに不動産会社にお勤めの方は、「ああ、そういうことね」と理解し易くなりますし、不動産会社に勤めたことがない方も「なるほど実際の取引はそうなのね」と実務を意識できるように工夫しております。

 

講義をするとよく質問されるところを整理

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私の強みは、講義もやっていることです。←自分で言うのは恥ずかしいのですが・・・

実は、私どもの業界では、テキストは書けるが、授業すると黒板と話しをする先生、、、テキスト書くほど法律の知識はないが、授業をすれば天下一品、という方が多い。どちらもダメという先生もいますが、予備校業界は弱肉強食なので、実力がないとすぐに消えて行く怖い世界。

かなり自慢になってしまいますが、私は、かなり深く法学研究をしてきました、大学でも法律学を教えています、独立後には基本六法すべてのテキストを書いたりしたくらい、とにかく研究と執筆が大好き人間。そして、大学院生の頃から、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人とすべてを、塾、高等学校、大学、企業研修等で教えてきております。人前で話すことが苦手だったので、とにかく練習しました。1時間の講義のために6時間くらい練習し、どこでどのようなギャグを言うのかまで準備して講義に臨んでいました。落語も研究し話し方を学び、暗記させるための手法をプレゼンや心理学からも学び研究を重ねた結果、予備校では1年で超人気講師になりました。

講師をしながらテキストを書くというのはとてもよいことです。受講者がどこで悩み、どこで躓くのかがわかるから。だから、私のテキストは毎年その反省のもとに書き直しております。

たとえば、上の写真のように、宅建試験では頻出である、事務所等に備える標識をまとめたもの。普通のテキストではここまで細かく書いていないのが多いですが、分譲業者と媒介業者がいた場合で、案内所を分譲業者が設置した場合と共同で設置した場合の違い、さらには、売却物件に標識を掲示する場合の設置義務者、さらに分譲業者に課せられる自ら売主制限のクーリングオフの案内所の要件、こういった頻出分野だけど、多くの受講者が躓く箇所を、省かずにしつこいくらいに表にしてまとめていたりします。

これは、他社にはない受講者が悩むところを中心に深く書くという、ある意味ニーズにこたえるという商売の基本の如く、理解して合格を早めることを強く意識した点です。

 

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これなんかもそうですよね。

試験1週間前の直前合宿では、必ずと言ってよいほど質問される内容。

未完成物件の話しです。

未完成物件は、やっかいですよね~。広告開始時期、手付金等の保全措置、自己の所有に属しない物件の契約制限、契約の締結時期、という4つの点で問題となります。それぞれ、どの段階で、何ができず、もしやってしまった場合の監督処分と罰則の有無が整理できていますか?

これがまとめられていないと、合格できませんよ。

こんなあたりも、講義視点のテキストならではです。

 

まあ、話し出すときりがなくなるのですが、ぜひ購入してみて下さい!

読んでみて、学習してみて、わからないことがあれば、ぜひ、私に直接メール等で質問して下さい。必ず、ご返答致します。

 

著者 田中謙次

 

 

2017年版 うかるぞ宅建士 きっちり要点整理 (うかるぞ宅建士シリーズ)

2017年版 うかるぞ宅建士 きっちり要点整理 (うかるぞ宅建士シリーズ)

 

 

 

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