読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

田中謙次の宅建試験ブログ

宅建試験の受験に役立つ情報を提供します。

特定秘密保護法案とは

今日も楽しく法律入門講座を終えました。

今日は、憲法3回目。前回の天皇制に引き続き、平和主義と人権享有主体について講義しました。


国家の安全保障の話と、人権共有主体は、もちろんまったく異なる分野なのですが、現在話題となっている、いわゆる特定秘密保護法案の合憲性という観点から考えると、一概に分野の異なる話とも思えなくなるわけですね。

もちろん、私の講義は、そんじょそこらのテキストを使って淡々と憲法の条文・判例を使って説明するなんてつまらんことはやりません。(まあ、それも大事だけどね)


たとえば、もう8年前に書いた憲法のテキストに、私はこんなことを書きました。今日も使ったけど、懐かしく当時の自分を思い出す。


「20XX年,わが国は,十数年におよぶ行政改革と財政改革の結果,国内の経済成長を遂げていた。さらに日本企業である株式会社Xのロボット技術と人工頭脳の発明,核融合実験の成功による無限のエネルギーの享受によって,全世界の経済基盤を支配するに至った。
その反面,世界は既に100億人を超えた人口と,数年前から始まった地球温暖化による異常気象により,恒常的な食糧難に苦しんでいた。世界は,日本を中心とする豊かな国と,飢餓状態が続く極貧な国に二極化された。
一時期世界を武力によって支配しつつあったアメリカ合衆国も,今ではテロとの戦いに敗れ,温暖化による経済中心都市ニューヨークの水没によって,国内の景気対策と秩序維持だけで精一杯の状況だった。
世界でひとり勝ちとなったメガロポリス日本は,世界の9割を占める極貧の国々から押し寄せる難民の対処に苦労していた。そこで日本政府は,難民の衛生管理と犯罪防止を理由に,原則入国禁止政策を打ち立て,難民を多く出す国に対する経済制裁を可能とする法律を制定した。
真っ先に経済制裁を受けた隣国Yの過激原理主義者らは,Y国内で革命を起こし,新政府を樹立した。Y国軍は,警備が手薄となったアメリカ合衆国国軍沖縄基地から,原子力潜水艦をジャックし,日本政府に対して,経済制裁の24時間以内の無条件撤廃を要求するとともに宣戦布告した。
このような場合,日本国の自衛隊は,武力をもってY国および原子力潜水艦に対して先制攻撃することができるでしょうか。」


憲法9条戦争放棄だとか、全文の平和理念だとか、そんな言葉を見て理想論だけならべても、ただの飲み屋のおしゃべりになり、現実的な結論などだせない無責任な話に終わります。

リアリティのある具体的な事案を用いて考えるのが、法律学を志す学徒の基本姿勢であり、求められる法律家としての最低限の素養です。

 

と、前置きはこれくらいにして(って、まだ本論じゃないのか!といつもどおりの自分ツッコミをいれておいて)


今、話題の特定秘密保護法案、、、

はたして、どれだけの方が、その法律の全文をきんと読んだ上で、評価しているのだろうか?

法律案を読みもせず、または読む能力がなく、たんにマスコミや他人の評価に迎合・便乗して反対なり賛成するのは、

思考停止

そのものです。


この法案についての評価で、戦前に逆戻りだ!というものがあるが、あの戦争での我が国の失敗はまさに思考停止にあったと私は思っている。

226事件を契機に、言論人が何かを虞れ、政府・軍に反対することを嫌い勝手に自らの首を絞めていった。そして、天皇大権の大義の下に、考えることをやめてしまい、停戦の時期を失し、国家の存亡を危うくする状況にまでこの国を追い込んだ。


現在のマスコミや世論に流されて、この法案の評価をすることは、やめたほうがいい。
議論するならしっかりと法案を読まなければならない。


たとえば、某映画監督は、某サイトでこの法案と治安維持法を並列させて、当時の言論制限について語っている。

どこをどう見ても、実体法である刑法の特別法の治安維持法と、今回の法案はその性質も中身もまったく異なります。
それどこか、国家の体制の土台である憲法がそもそも違う。

当時の大日本帝国憲法には、そもそも人権という概念がない。天皇大権により、与えられた臣民の権利と義務が定められ、その内容は、天皇を頂点とする衆議院貴族院で可決された法律その他法令による留保を基本とする、いわゆる形式的な立憲主義を採用しているものだった。

しかし、現行の憲法は、13条で個人の尊厳を最大の目的とする個人主義を最高の価値におき、それを具体化するため、各人権規定を設け、それを脅かす国家権力を制限する規定を設けている。さらに、ヨーロッパのような形式的な法治主義を捨て、アメリカ法特有の法の支配の原理をも採用し、国会による法改正でも変えられない自然権的な自由権を保障し、その担い手として司法権違憲立法審査権を与えている。


天皇大権の下、制限された国家と臣民の権利しか保障していなかった当時の憲法の下での治安維持法とは、その内容も性質も、これから予想される運用も全く異なるわけです。


映画監督という言論人が、よく勉強せずに気持ちの赴くままに政治的な発言をすることの危うさのほうが気がかりである。

 


と言いたい放題言っていますが、


現在我が国の置かれた状況は、数十年前とはまったく異なっていますね。

なんといっても、アメリカのパワーが減退していることと、我国の経済力が加速度的に低迷しつつあることで、これまでお金の力と、アメリカの軍事力の助けで、我が国の安全が保たれていたという土台が揺らぎ始めています。

今も昔も、力の源は、情報です。
情報を操る者が人を制し、国を制し、世界を制します。

この国の国防に関するコアな情報が外国に筒抜けとなっていては、外交交渉なんてできません。

我が国に攻撃したら痛い目みるという脅威があれば、容易に我が国に不当な行為などできないのであり、そのために、こちらの国防の情報が外国からわからない状況になければならない。


また、この法律は、マスコミや国民の知る権利にかなりの配慮をしています。


○ 安全保障に関する情報の保護、情報公開、公文書管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴いた上で、 特定秘密の指定等に関し、統一的な運用を図るための基準を定める。
○ 本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
○ 出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。


なんていう、条文までご丁寧に附則に書かれています。
もちろん、憲法21条の表現の自由に配慮するためです。

 


前政権では、我が国に在留する近隣諸国の外国人の人権を保障するという目的で、あらゆる法案が作成され、その一部は制定されています。
外国人の人権享有もとても大切なことですが、そのことが、その背後にある隣国の国家戦力的な情報操作に利用されてしまっては、この国の存亡に関わることになります。

なんと批判されようが、私は日本人なので、外国人よりも日本人をより厚く保護すべきだと考えています。日本国や日本国民・その財産を海外に売り飛ばすような行為は断じて許すべきではない。


はっきり言おう。

この法律ができたからといって、マスコミも学者も言論人も、ましてや一般人も誰も困らない。

困るの人は、

1.日本の政府から防衛情報を盗もうと考えている人
2.日本の政府からテロ対策の情報を盗み日本国内でテロを成功させようとしている人
3.日本の政府を転覆して自国に利益をもたらそうとしている外国政府


くらいです。


少なくとも、私はこの国を他国に売るような行為はしないので、この法案に何ら反対するつもりはない。ただ、法律家として、しっかりとその運用をチェックして行かなけれならないが。

 

とたまにつぶやく政治ネタでした。

 

www.ken-bs.co.jp

〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-7ストーク新宿1F

電話:03-5326-9294 Email : info@ken-bs.co.jp