建築基準法-防火上の規制 全国賃貸住宅新聞
中古の建物を売却する際、買主が将来再築する旨を話していなくても、敷地が防火地域内にあることを説明する必要がありますか?
説明しなければなりません。土地や建物を売却する場合、建築基準法上の防火地域または準防火地域の規制内容を重要事項として説明しなければなりません。
防火地域内では通常の木造住宅は造れないの?
造れない場合が多いです。都市を火災などの災害に強い環境にするために、都市計画で防火上の地域として防火地域と準防火地域を定めています。そして、これを受けて建築基準法では、これらの地域に建つ建築物の規模により、耐火建築物や準耐火建築物のほか、一定の防火性能を満たす建築物とするよう制限を定めています。防火地域内での規制はその中でも最も厳しく、通常の木造建築物の場合はその基準を満たさないことが多いです。
防火地域内ではどのような制限があるの?
防火地域は、大規模な商業施設などが建ち並ぶ駅前の商店街のように、交通量が多く、ひとたび災害が起きると大惨事になりかねない地域などに指定されます。防火地域内の建物は以下の表にある規制を受けます。
ただし、以下の場合はこの規制の適用が除外されます。①延べ面積が50㎡以内の平家建の付属建築物で外壁と軒裏が防火構造のもの、②主要構造部が不燃材料でつくられた卸売市場の上家または機械製作工場、③不燃材料でつくり、または覆われた高さ2mを超える門または塀、④高さ2m以下の門または塀。
準防火地域内ではどのような制限があるの?
準防火地域は、防火地域の外側で、住宅などの建物が密集していて火災が起きたときに危険度の高い地域などに指定されます。構造上の制限は、防火地域より緩やかな規制となっています。準防火地域内の建物は以下の表にある規制を受けます。
ただし、防火地域と同様に、主要構造部が不燃材料でつくられた卸売市場の上家または機械製作工場などは、この規制の適用が除外されます。
建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合、どちらの規制に従えばいいの?
建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合においては、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。
今日のポイント
- 防火地域内の建物は、原則として耐火建築物でなければならない。ただし階数が2以下で延べ面積が100㎡以下の場合は準耐火建築物でもよい。
- 準防火地域内では、地階を除く階数が4以上の建築物または延べ面積が1、500㎡を超える建築物は耐火建築物でなければならない。ただし、地階を除く階数が3以下で延べ面積が1、500以下の場合は準耐火建築物とすることもできる。
(過去問にチャレンジ!)
【問 18】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成23年度 問18)
- 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、原則として、当該建築物の全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。
- 防火地域内においては、3階建て、延べ面積が200㎡の住宅は耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。
- 防火地域内において建築物の屋上に看板を設ける場合には、その主要な部分を難燃材料で造り、又はおおわなければならない。
- 防火地域にある建築物は、外壁が耐火構造であっても、その外壁を隣地境界線に接して設けることはできない。
解答:1
- ○ 建築物が防火地域および準防火地域にわたる場合、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用されます。
- × 防火地域内においては、階数が3以上であり、又は延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物としなければなりません。
- × 防火地域内にある看板で、建築物の屋上に設けるものは、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければなりません。「難燃材料」ではなく「不燃材料」でなければなりません。
- × 防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができます。
この記事は2014年7月7日の「全国賃貸住宅新聞」に掲載したものです。
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