田中謙次の宅建試験ブログ

宅建試験の受験に役立つ情報を提供します。

代理権授与の表示による表見代理等の(民法109条)の改正

代理権授与の表示による表見代理等の(民法109条)の改正

平成27年3月31日 民法の一部を改正する法律案が後の宅建士試験に与える影響について定期的に解説します。

 

新旧対照条文

現行

(代理権授与の表示による表見代理
第109条  第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

改正案

(代理権授与の表示による表見代理等)
第109条
1 (略)
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

 

改正案の内容

代理権授与の表示による表見代理に関する民法109条に新たに2項が追加され、現行の民法109条と同法110条の重畳適用に関する規律を定めるものであり、判例法理(最判昭和45年7月28日民集24巻7号1203頁)を明文化するものです。

 

現行民法109条と同法110条の重畳適用は、同法110条の要件である基本代理権の授与に代えて、基本代理権についての同法109条の表見代理の成立を主張するというものです。したがって、同法110条において基本代理権と実際の代理行為の代理権という2種類の代理権が問題となるのと同様に、基本代理権に相当する同法109条の代理権授与表示における代理権と、実際の代理行為の代理権という2種類の代理権が問題となります。また、代理権授与表示における代理権については同法109条にいう善意無過失、実際の代理行為の代理権については同法第110条にいう正当な理由がそれぞれ要件となります。

 

宅建試験への影響

無権代理表見代理については、宅建試験で超頻出分野となります。表見代理については、表示、消滅、踰越の3パターンがあり、それぞれ個別に出題されることが多いのですが、両方の要件を満たすパターンである重畳適用についての判例も稀ではありますが、出題されたことはあります。

今回の改正は、この重畳適用に関する判例法理を条文に明記した点で重要ですが、実務的には実質的な変更はありません。ただ、出題頻度としては稀であった判例法理が条文化したので、ストレートに重畳適用の事例問題又は条文問題が出題される可能性は高いですね。

 

法務省:民法の一部を改正する法律案

 

www.ken-bs.co.jp

 

www.ken-bs.co.jp

〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-12-7ストーク新宿1F

電話:03-5326-9294 Email : info@ken-bs.co.jp