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田中謙次の宅建試験ブログ

宅建試験の受験に役立つ情報を提供します。

借地上の建物の登記の所在地番が実際と異なる場合でも借地権を第三者に対抗できる?

Q.借地上の建物の登記の所在地番が実際と異なる場合でも借地権を第三者に対抗できる?

 

A.対抗できる場合があります。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 


土地の賃貸借契約の上限は20年?

民法に書かれている賃貸借の期間には上限があり、20年となっています。ただし、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権(借地権といいます)の場合には借地借家法が適用され、その期間の上限がなくなります。

 

契約期間が満了したら契約は終了するの?

一般に、契約に期間が定められていたら、その期間が過ぎれば契約から生じていた諸権利は消滅します。しかし、借地権設定契約の場合は、借地権者(借りている側)を保護する目的から、契約が更新されるのが原則となります。借地権設定者(貸している側)から契約を終了させる場合は、正当事由がなければなりません。ただし、存続期間が満了した時に建物が存在しなければ、契約は更新されません。

 

土地の賃借権を登記しなければ第三者に対抗できない?

民法では、不動産賃借権を登記することで第三者に対抗することができます。この登記は賃貸人と賃借人が共同して行う必要があります。多くの賃貸人はこの登記に協力したがらないのが現実です。そこで、借地借家法では賃貸人側の協力なしに対抗力を認める制度を定めています。具体的には、借りている土地の上の建物について自分名義の登記をしておくことで借地権に対抗力が生じます。しかも、判例上、この自分名義の登記は表示の登記でもよいとされています。ただし、自己と同じ苗字の長男名義で保存登記をした事案では対抗力が否定されています。さらに、建物が滅失しても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日および建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、建物の滅失があった日から2年以内に建築して登記をすれば対抗力があるものとみなされます。

 

借地上の建物の登記の所在地番が実際と異なる場合は?

借地上の建物の登記に表示された所在地番及び床面積が実際と異なる場合において、所在地番の相違が職権による表示の変更の登記に際し登記官の過誤により生じたものであり、床面積の相違は建物の同一性を否定するようなものではないときは、借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」に当たるとする判例があります(最判平成18年1月19日)。

 

地代が払えずに契約が終了した場合、建物はどうなるの?

借地権設定契約が期間満了によって終了した場合、借地権者は借りていた土地を返さなければなりません。では、土地の上に建てた建物はどうなるのでしょうか。もし、建物を壊して更地にして土地を返さなければならないとしたら、借地権者にとってはかなり酷な話になってしまいます。そこで、借地借家法では、期間満了した場合で契約の更新がない場合に、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる旨が定められています。これを建物買取請求権といいます。ただし、債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地権者は建物買取請求権を有しません(最判昭和35年2月9日)。

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 11】 Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えていないものとする。

  1. Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。
  2. Aが甲建物を所有していても、 登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものではなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。
  3. AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。
  4. Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。

解答:1

 

  1. 〇 土地賃借人は、自己と氏を同じくしかつ同居する未成年の長男名義で保存登記をした建物を借地上に所有していても、土地の新取得者に対し借地権を対抗できません。したがって、自己名義でなく子C名義で登記しているAは、Dに対して借地権を対抗することができません。
  2. × 借地上の建物の登記に表示された所在地番及び床面積が実際と異なる場合において、所在地番の相違が職権による表示の変更の登記に際し登記官の過誤により生じたものであり、床面積の相違は建物の同一性を否定するようなものではないときは、借地借家法10条1項にいう「登記されている建物」に当たります(最判平成18年1月19日)。したがって、Aは、Eに対して借地権を対抗することができます。
  3. × 契約の更新等を排除した定期借地権を設定するためには、存続期間を50年以上と定めなければならず、存続期間を30年とする本件借地契約においては、定期借地権を設定することはできません(借地借家法22条)。公正証書で契約をした場合であっても同じです。
  4. × 債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は建物買取請求権を有しません(最判昭和35年2月9日)。

 

 

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