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田中謙次の宅建試験ブログ

宅建試験の受験に役立つ情報を提供します。

家賃の値上げに反対する借家人に立退料を支払えば解約できる?

全国賃貸住宅新聞

Q.家賃の値上げに反対する借家人に立退料を支払えば解約できる?

 

A.解約できるとは限りません。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 


建物賃借人に更新拒絶の通知を出し忘れたら何年の期間で自動更新するの?

建物の賃貸借について期間の定めがある場合は、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、それまでの契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただ、その期間は定めがないものとなります(借地借家法26条1項)。民法では、期間の定める賃貸借は期間の満了とともに賃貸借が終了しますが、賃貸人が、期間満了後も賃借人が賃借物の使用を継続している事実を知りながら、異議を述べないとき、それまでの賃貸借と同一の条件でさらに賃貸借をしたものと推定されます(民法619条、黙示の更新)。民法では「推定」、借地借家法では「みなす」となっており、より建物賃借人が保護されていることがわかります。

 

立退料の給付があると正当事由があるとみなされるの?

前記の建物賃貸人による更新拒絶の通知には正当事由が必要です。正当事由が認められない場合には、更新拒絶をすることができず、賃貸借契約は法定更新されます。正当事由があるかどうかは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関するこれまでの経過、建物の利用状況と建物の現況ならびに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して判断されます(借地借家法28条)。この規定は平成3年に制定された借地借家法によって明記されたものですが、旧法時においても判例の積み重ねにより同様の内容が確立していました。あえて明記した理由は、貸主・借主双方に生じた事由を総合的に判断して正当事由の有無を決するという従来の判断枠組みを維持する一方で、その判断基準を明確化し、正当事由訴訟の簡易化・予想可能化を図ることにあります。立退料は、建物の賃貸人と賃借人が建物の使用を必要とする事情を判断する重要な要素です。たとえ相当な金額の立退料の申入れであっても、正当事由があると自動的に「みなされる」わけではありません。あくまでも、訴訟となった際に裁判所が判断するための要素のひとつというだけです。ただ、新家主による露骨な地上げのケース等でなければ、相当な金額の立退料の支払いとともに正当事由を認める裁判例が多い。

 

契約終了時に賃借建物に付加されたレストラン店舗用の調理台等は買取らないといけないの?

建物賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができます(借地借家法33条1項)。「造作」とは、建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ建物の使用に客観的便益を与えるものをいいます。民法の原則によれば、賃借人が自己の費用で付加した造作は、原状回復義務により撤去する義務を負うはずです。造作は賃借人の所有物なので自ら撤去するのは自由です。ただ、通常、造作は建物に付加されている状態と比べ撤去すると価値が下落します。そこで、賃借人は造作の撤去を望まず、少々安価でも賃貸人からの任意の買取要求に応じる傾向がありました。賃貸人の中にはこれを悪用して、旧賃借人から安く買い取り、新賃借人に高く売却する者もいました。このような悪弊を防止し、賃借人が自己の投下した費用の残存価値を回収できるようにするため作られた制度です。ただ、この造作買取請求の制度は任意規定とされています。すなわち、あらかじめ契約により買取請求を認めない特約をすることも有効です。

 

定期借家契約の場合で契約終了の通知を出し忘れたら更新するの?

定期借家契約の期間が1年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の1年前から6か月前までの間に賃借人に対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができません(借地借家法38条4項)。ただ、契約の終了の効果自体は当初の契約期間満了によって生じます。終了通知が契約終了の効果を生じさせるわけではありません。明渡請求ができなくなるだけです。たとえば、2017年3月31日に期間が満了する契約期間1年以上の定期借家契約において、賃貸人が終了通知を出し忘れ、2016年12月12日に通知をしたような場合、そこから6か月後の2017年6月13日以降にならないと、賃貸人は賃借人に明渡請求ができなくなります。ちなみに、2017年3月31日に契約が終了している点には影響はないので、同日から2017年6月13日までは一種の不法占拠状態となるので、賃借人は不当利得として賃料相当額を支払う義務があります。

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 12】AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した。この場合における次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AもBも相手方に対し、本件契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。
  2. BがAに対し、本件契約の解約を申し入れる場合、甲建物の明渡しを条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、Bの解約の申入れに正当事由があるとみなされる。
  3. 甲建物の適法な転借人であるCが、Bの同意を得て甲建物に造作を付加した場合、期間満了により本件契約が終了するときは、CはBに対してその造作を時価で買い取るよう請求することができる。
  4. 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めた場合でも、BはAに対し、同条所定の通知期間内に、期間満了により本件契約が終了する旨の通知をしなければ、期間3年での終了をAに対抗することができない。

解答:2

 

  1. 〇 普通の建物賃貸借のうち、契約期間の定めがある場合における、期間満了の際の法定更新においては、従前と同一の条件で契約を更新したとみなされますが、その期間は定めがないものとされます(借地借家法26条1項)。
  2. × 建物賃貸借契約における賃貸人の賃借人に対する解約の申入れが認められるために必要とされる正当事由は、「賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情」「賃貸借に関する従前の経過」「建物の利用状況」「建物の現況」「立退料等の提供」を総合的に考慮して決定されます(借地借家法28条)。財産上の給付が提供されれば直ちに正当事由があると認められるわけではありません。
  3. 〇 建物賃貸借契約における適法な転借人は、期間満了により契約が終了する際は、賃貸人に対し、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作の買取を請求することができます(借地借家法33条2項)。
  4. 〇 存続期間が1年以上の定期建物賃貸借契約においては、賃貸人は、期間満了の1年から6カ月前までの間に期間満了により賃貸借が終了する旨を通知しなければ、終了を賃借人に対抗することができません(借地借家法38条4項本文)。

 

 

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