田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

宅建士試験&賃貸不動産経営管理士試験の受験に役立つ情報を提供します。

賃貸不動産管理士とはどんな資格?

2012年にスタートした賃貸不動産経営管理士試験は今年で6回目を迎えます。今後ますます注目度が高くなるこの資格について学習方法含めご紹介したいと思います。

 

賃貸不動産管理士とはどんな資格?

賃貸不動産経営管理士とは、主に賃貸アパートやマンションなど賃貸住宅の管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家と位置付けられています。重要な居住環境である賃貸住宅を適正に維持・管理することは、みんなが安心して生活できる土台となっています。そして、継続的かつ安定的で良質な管理サービスに対する社会的な期待や要望は多く、賃貸不動産の管理業務にかかわる幅広い知識を有する賃貸不動産経営管理士の活躍が期待されています。
具体的には、2011年12月に創設された賃貸住宅管理業者登録制度と深く関係しています。第一に、登録事業者が貸主との管理受託契約を締結するときは、賃貸不動産経営管理士または管理事務に関し6年以上の実務経験を有する(以下、賃貸不動産経営管理士等といいます)は重要事項を記載した書面を交付して説明し、重要事項説明書の記名・押印を行わなければなりません。第二に、貸主との管理受託契約が成立したときは、賃貸不動産経営管理士等は契約書を作成し、記名・押印を行わなければなりません。第三に、登録事業者の事務所ごとに1名以上の賃貸不動産経営管理士等を設置しなければなりません。これらの役割から見ても、同資格が賃貸不動産管理を営む上で必須要件となっていることがわかります。

 

賃貸不動産経営管理士になるには?

賃貸不動産経営管理士になるためには1年に1回実施される資格試験に合格する必要があります。この試験の受験資格に要件はありません。誰でも受験できます(合格後の登録には一定の要件があります)。実際に、不動産業従事者だけでなく、自主管理の家主や不動産業界へ就職を目指す学生、より知識を深めたい社会人など毎年多くの方が受験しています。試験は、毎年11月に全国11都市で行われます。合格後に登録することで、資格の証しとなる認定証やカードが発行されます。
また、試験実施団体による賃貸不動産経営管理士講習も行われています。賃貸管理業務に必要な専門知識の習得と実務能力を高めるための講習(2日間のスクーリング)です。この講習も受講要件がありません。例年5月~9月の間に全国主要都市で実施されています。この講習の修了者は本試験の出題40問のうち4問が免除されます(2年間有効)。

 

簡単に合格できるの?

 

2016年度

2015年度

2014年度

2013年度

2012年度

平均合格率

54.6%

76.9%

85.8%

79.9%

受験者数

13,149名

4,908名

4,188名

3,946名

4971名

合格者数

2,679名

3,219名

3,386名

3970名

直近5年間の試験状況

 

2012年にスタートした試験は、最初は4000人近くの合格者を輩出しましたが、その後減り続け2015年度は2700人になっています。当然に合格率も低くなってきており、2015年度は54%となりました。ちなみに、2016年度の合格者数はまだ発表されておりませんが、ここ数年の推移から推測すれば、合格者を2000と予測して、合格率15%前後ということになります(表参照)。類似の資格試験である宅地建物取引士試験の合格率は15%なので、それと同等の難易度の試験になりつつあるといえます。

 

2016年度の試験から急に受験者増えた理由は?

表1にあるように2016年度の試験から受験者が桁違いとなっています。その理由は、第一に、2016年8月に賃貸住宅管理業者登録制度の一部が改正されたことにあると思われます。この制度改正で賃貸不動産経営管理士に一定の役割が位置付けられました(前記した3つの義務と役割です)。そして、この改正に伴う、経過措置は2018年6月30日までとされています。すなわち、登録事業者は「管理事務に関し6年以上の実務経験者」が各店舗に在籍していない場合、「賃貸不動産経営管理士」資格者が在籍する必要があります。経過措置の期限内の試験は2016年と2017年の2回だけです。第二に、この制度改正を業界に普及するため、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会等が積極的に活動していることも要因だと思います。第三に、試験実施団体である賃貸不動産経営管理士協議会が、賃貸住宅管理業務の適正化と、それに係る借主と貸主の利益保護のため、賃貸不動産経営管理士の国家資格化を目指していることが、前記制度改正により現実味をおびてきたことが影響していると思います。

 

賃貸不動産経営管理士試験に合格するには?

賃貸不動産経営管理士試験は、まだ国家資格化していないので、試験実施団体が公式テキストを販売しています。このテキストに記述されていることを理解して覚えれば100%合格できる試験です。とは言っても、A5版で約1000頁あるテキストなので短期間で合格するにはある程度メリハリをつけて学習する必要があります。2016年度の試験では40問中39問はすべて公式テキストに直接の記載がある問題でした。1問だけ空き家対策に関するもので、間接的な記載しかなかったものでした。

 

賃貸不動産管理の知識と実務―賃貸不動産経営管理士公式テキスト

賃貸不動産管理の知識と実務―賃貸不動産経営管理士公式テキスト

 

 

現在の試験では、公式テキストで学習することが最も効率的です。公式テキストは1000頁もあるので、一気に読むことは難しいので、章ごとに分割して簡易製本する等の工夫を施して、一つ一つマスターして行くとよいでしょう。公式テキストには章ごとに演習問題が数問掲載されており、その解説には参照頁も記載されているので、章を読み終わった後にこの演習問題で記憶の定着を図れます。2015年度の試験を分析すると、この演習問題をしっかりと勉強していれば8割以上容易に正解できる問題でした。不安な方は、市販の過去問集や予想問題集を購入して演習するとさらに記憶が定着するでしょう。

 

2017年度以降の試験はどうなるの?

どのような試験も、公式テキストをしっかり読み込み、過去問を活用して学習することで合格できます。前記した通り、登録制度の改正の経過措置は2017年度試験までです。昨年以上に受験者数の増加が予想されます。あらかじめ合格点数を設定する試験ではない競争試験である以上、受験者数が増加すると必然的に難易度は高くなります。受験勉強から長く離れてしまっている方は、その感覚を取り戻すために一度講習を受講することをお勧めします。実施団体が行っている免除講習はもちろんのこと、受験対策として短期講習を実施しているところもあります。もちろん、私の経営する機関でも今年から短期講習を実施しております。また、経過措置以降の2018年度からの試験は、国家資格化された後の試験になる可能性が高いと思われます。あくまでも推測ですが、宅地建物取引業と同様の扱いを目指しているのであれば、賃貸管理業者の免許制への格上げ、免許取得要件に賃貸不動産経営管理士の専任制等が法律に定められ、違反者への監督処分及び罰則が科せられることになるのでしょう。不動産投資家へのアドバイスも含む役割も担うことを考えあわせれば、宅建試験に並ぶ人気の資格試験となると思われます。どちらにしても、試験に合格することは年々難しくなるので早めに合格したほうがよいでしょう。

 

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