田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

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保証協会に150万円を納付している業者の還付の上限額は?

Q.保証協会に150万円を納付している業者の還付の上限額は?

 

A.2,500万円です。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

宅建業の免許を取ったらすぐに事業を開始できるの?

できません。宅建業の免許を取った後に、営業保証金を供託して免許権者に届け出るか、宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会といいます。)に弁済業務保証金分担金を納付しなければなりません。

 

なんで保証金を納めないと事業を開始できないの?

営業保証金制度とは、宅建業者が営業活動として行う取引で相手方に損害を与えた場合に備えて、宅建業者に、供託所に一定額の金銭または有価証券を供託することを義務付け、これを損害の穴埋めにあてる制度をいいます。ちなみに、昭和27年に宅建業法を制定する際にこの制度を定めるかどうか議論にはなったようですが、結局定められずスタートしました。しかし、宅建業は不特定多数の者を相手としてなされ、取引物件も高額であり、さらに、経営規模も中小零細業者が多いため相手方等に与えた損害を賠償できず倒産する事案も多いのが現状です。また、これが業界全体に対する社会的信用を低下させていました。そこで、昭和32年の法改正で営業保証金制度が定められました。さらに、営業保証金制度が導入された後、日本は高度成長期を迎えました。不動産の取引価格も高額となり、当初の営業保証金の額のままでは不十分になりました。そこで、昭和47年の改正でそれまでの営業保証金の額を5倍に引き上げるとともに、保証協会を設立し弁済業務保証金制度を作りました。この制度は、小規模な宅建業者が多額の営業保証金を供託するという経済的負担を軽減するため、営業保証金に代わるものです。

 

念のために複数の保証協会に介入することはできるの?

できません。一つしか選べません。現在、宅建業法上、保証協会の業務が認められている機関は、公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会と公益社団法人不動産保証協会の二つだけです。

 

保証協会に納付する額は定額なの?

保証協会に加入するためには、法律で定められた額を現金で納付しなければなりません。これを弁済業務保証金分担金の納付といいます。入会金等の諸経費以外では、事務所の数によって納める額は異なります。事務所一つの場合は60万円、二つ目からは30万円ずつとなります。したがって、本店1つと支店3つを構える宅建業者の場合は、150万円になります。なお、事業開始後に事務所を新設した場合も同じです。新設した日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません。

 

保証金の使い道は?

営業保証金や弁済業務保証金は、会社の資本金等とは異なり、運転資金として使うことができません。営業保証金の場合は、事務所1つで1,000万円、2つ目からは500万円ずつということなので、1つの会社で全国展開した場合、供託する額は非常に高額になります。これらのお金は、宅建業者の経営状況が悪化して取引の相手方(債権者)に損失を与えてしまった場合に供託所から直接その相手方に還付されるものです。還付される額の上限は、営業保証金の場合は供託した合計額となります。保証協会に加入している宅建業者と取引した相手方も同額となります。つまり、事務所1つで60万円を納付した宅建業者と取引した相手方は上限1,000万円、事務所2つで90万円の場合は上限1,500万円、事務所4つで150万円の場合は上限2,500といった具合です。

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 31】 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員である宅地建物取引業者に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 保証協会に加入することは宅地建物取引業者の任意であり、一の保証協会の社員となった後に、宅地建物取引業に関し取引をした者の保護を目的として、重ねて他の保証協会の社員となることができる。
  2. 保証協会に加入している宅地建物取引業者(甲県知事免許)は、甲県の区域内に新たに支店を設置した場合、その設置した日から1月以内に当該保証協会に追加の弁済業務保証金分担金を納付しないときは、社員の地位を失う。
  3. 保証協会から還付充当金の納付の通知を受けた社員は、その通知を受けた日から2週間以内に、その通知された額の還付充当金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
  4. 150万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付して当該保証協会の社員となった者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、2,500万円を限度として、当該保証協会が供託した弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する。

正解:4
  1. × 一つの保証協会の社員は、他の保証協会の社員になることはできません。
  2. × 保証協会の社員が新たに事務所を設置した場合は、その日から2週間以内に、一つの事務所につき30万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません。1月以内ではありません。
  3. × 宅建業者は、保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けたときは、その通知を受けた日から2週間以内に、通知された額の還付充当金を保証協会に納付しなければなりません。その納付先は保証協会です。
  4. 〇 150万円を納付したので、60万円×1(主たる事務所)+30万円×3(従たる事務所)=90万円となります。したがって、営業保証金の額に相当する額は、1,000万円+500万円×3で計算される2,500万円となり、これが還付限度額となります。

 

  

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