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田中謙次の宅建試験ブログ

宅建試験の受験に役立つ情報を提供します。

抵当権設定の代理権を与えられた者が本人の振りをして売却したらどうなるの?

Q.抵当権設定の代理権を与えられた者が本人の振りをして売却したらどうなるの?

 

A.買主(相手方)に過失がなければ本人に対して売買の効力を主張できます。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

代理って何?

前回の記事では意思表示について勉強しました。意思表示には効果意思という要素がありました。不動産を購入して代金を支払う等の効果意思をもち、それを表現し、その結果を受け入れるのは、すべて同じ人であることが原則です。代理は、効果意思の決定と表現する人と、その結果を受け入れる人が異なる特殊な例外となります。不動産を購入すると決める人と、実際に不動産を手に入れ代金を支払う人が異なるということです。理屈っぽい言い回しですが、代理を理解するにはとても大切なことです。

 

意思表示するのは本人?代理人?

代理人が意思表示します(代理人意思説)。ただ、この点、学説上は争いがあります。意思表示するのは本人であり代理人がそれを代行しているに過ぎないとする見解(本人意思説)もありますが、この対立は当時明文規定を持たなかったドイツにおける議論であり、明文規定を有するわが国では実益がないとも言われています。しかし、本人ではなく代理人が意思表示するという点を意識して勉強することで理解は深まります。代理人意思説では、代理における行為者は代理人(と相手方)であり、代人は自らの意思を表示するとし、代理人のした意思表示の効果が本人に生じるのは、代理人が本人への効果帰属を欲し(代理意思を有し)、それが表示されたときにその意思を法が承認することによると説明されます。そして、本人と代理人との間の契約(委任契約など)と、代理人と相手方との契約(売買契約など)は別個独立のものであり、代理人が本人に効果帰属すると意思表示するからこそ本人に効果帰属するとします。難しい言い回しですが、要は、代理人の方が主導権を握っているということです。

 

代理人意思説はどんなところに現れているの?

たとえば、民法111条には、代理人が後見開始の審判を受けたようなときは代理権が消滅すると定められています。本人ではなく代理人が意思表示をするからこそ、代理人だけがその対象になっているわけです。また、民法101条1項には、意思表示の効力が詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとすると定められています。これも、意思表示をするのが代理人であり本人ではないからです。

 

本人に効果帰属するってどういう意味?

代理でもっとも解りにくいところが、「効果が帰属する」という表現だと思います。「効果が帰属しない」=「無効」ではありませんので注意が必要です。代理権がないにもかかわらず代理人の振りをして他人の不動産を売却したような場合、これを無権代理と呼び、「本人に効果が帰属しない」と表現します。これはあくまでも本人に対して効力が生じないだけです。もしこれを無効と解釈すると、無効について定めた民法119条と無権代理行為の追認を定めた116条が矛盾することになります。すなわち、119条には「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。」とあるのに対して、116条には「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。」とあります。無権代理の追認を定めた同条は無効とは明らかに異なります。

 

学習ポイント

代理人が後見開始の審判を受けたら代理権は消滅する。詐欺や強迫等の事情は代理人で判断する。無権代理行為を追認するとさかのぼって有効な代理になる。

 

(過去問にチャレンジ!)

【問 題】 代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはいくつあるか。(平成26年度 問2)
ア 代理権を有しない者がした契約を本人が追認する場合、その契約の効力は、別段の意思表示がない限り、追認をした時から将来に向かって生ずる。
イ 不動産を担保に金員を借り入れる代理権を与えられた代理人が、本人の名において当該不動産を売却した場合、相手方において本人自身の行為であると信じたことについて正当な理由があるときは、表見代理の規定を類推適用することができる。
ウ 代理人は、行為能力者であることを要しないが、代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権が消滅する。
エ 代理人の意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、本人の選択に従い、本人又は代理人のいずれかについて決する。


一つ  二つ  三つ  四つ

 

解答:二つ


ア× 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生じます。追認した時から将来に向かって生ずるわけではありません。
イ〇 代理人が直接本人の名において権限外の行為をした場合において、相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、そのように信じたことについて正当な理由があるかぎり、表見代理の規定を類推して、本人はその責を負います。
ウ〇 代理人は行為能力者であることを要しません。しかし、代理人が後見開始の審判を受けることが代理権の消滅原因となっています。
エ× 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決します。

 

 

 

  

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