平成28年度宅建試験対応 法改正点
平成28年度宅建試験対応 法改正点
平成28年度(2016年度)の宅地建物取引士資格試験で出題範囲となる法律の改正点をお知らせ致します。
宅建試験では、試験実施の年の4月1日までに施行された法律が出題範囲となります。よって、平成27年4月2日以降平成28年4月1日までに施行される法律をまとめております。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律
成立日:平成27年7月1日
概要
1.2000㎡以上の非住宅建築物(特定建築物)について、新築時等における省エネ基準への適合義務及び適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保すること
2.中規模以上の建築物について、新築時等における省エネ計画の届出義務を課し、基準に適合しないときは、必要に応じ、所管行政庁が指示等を行うことができること
3.省エネ性能の優れた建築物について、所管行政庁の認定を受けて容積率の特例を受けることができること
4.省エネ基準に適合している建築物について、所管行政庁の認定を受けてその旨を表示することができること
概要(PDF形式)
要綱(PDF形式)
法律案・理由(PDF形式)
新旧対照条文(PDF形式)
参照条文(PDF形式)
地域再生法の一部を改正す る法律
施行日:平成27年 8月10日
概要
地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推 進するため、認定地域再生計画に基づく事 業に対する特別の措置を追加する等の措置 を講じる。
概要(PDF)
要綱(PDF)
法律案・理由(PDF)
新旧対照表(PDF)
参照条文(PDF)
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第5次地方 分権一括法)
施行日:平成27年6月26~翌年4月1日(地方公共団体において条例制定や体制整備が必要なもの)
概要
農地転用許可に係る事務・権限は、農地を確保しつつ、地域の実情に応じた主 体的な土地利用を行う観点から、地方に移譲等
・2~4haの農地転用に係る国協議は廃止
・4ha超の農地転用に係る事務・権限は、国との協議を付した上で、都道府県 (指定市町村にあっては、当該指定市町村)に移譲
・農地等の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況 を考慮して農林水産大臣が指定する市町村に都道府県と同様の権限を移譲
上記のほか、「対応方針」において、権限移譲に当たり、事例集の作成など制度の 適正な運用に資する支援を行うことなどを盛り込み
地方分権改革に関する閣議決定等 : 地方分権改革 - 内閣府
行政不服審査法の改正
施行日:平成28年4月1日
概要
第1 利便性の向上
1 不服申立ての手続きを審査請求に一元化
旧法では、行政庁の処分に対する不服申立ての手続きが「審査請求」と「異議申立て」に分かれていました。異議申立ては上級行政庁がない場合や法律に特別の定めがある場合に適用されるもので、処分庁から説明を受ける機会が与えられていない等審査請求とは異なる手続上の問題がありました。改正法では「異議申立 て」制度を廃止して審査請求に一元化されました。
2 不服申立期間を60日から3か月に延長
旧法では、異議申立て及び審査請求をすることのできる期間は、処分があったことを知った日の翌日から60日以内とされていました。改正法ではこれが「3か月以内」に延長され、さらに、この例外事由である「天災その他審査請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるとき」は「正当な理由があるとき」にその要件が緩和されました(18条)。
3 標準審理期間の設定
審査庁となるべき行政庁は、審査に必要な標準審理期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは関係行政庁の事務所における備え付け、その他適当な方法により公にしておかなければ ならないとされました(16条)。
4 争点・証拠の事前整理手続きの導入
審理手続きを計画的に遂行する必要があると認めるときは、審理員は審理関係人を招集し、あら かじめ申立人に関する意見の聴取をすることができる等事前整理手続をとることが出来るものとされました(37条)。
5 不服申立前置の見直し
行政不服審査法の改正に合わせて,個別法による不服申立前置(不服申立てに対する裁決を経な ければ取消訴訟を提起できないとする制度)が見直されました。
現在、不服申立前置を定めている個別法は96あります。このような制度は国民の裁判を受ける権利を不当に制限しているとの批判もあり、これを存置する場合については、①不服申立ての手続きに高等裁判所への提訴等に相当する一審代替性があり、国民の負担軽減が図られる場合(電波法等)、②大量の不服申立てがあり、直ちに裁判所へ出訴されると裁判所の負担が大きくなると考えられる場合(国税通則法、国民年金法等)、③第三者的機関が高度に専門的な判断を行う等により裁判所の負担が軽減されると考えられる場合(公害健康被害補償法等)という3つの要件のいずれかに該当する場合に限定され、47の法律について前置の全部廃止、21の法律について一部廃止・ 縮小が行われました。
〇全部廃止(自由選択)
⇒47法律(国土利用計画法、農地法、 建築基準法、都市計画法など)
〇一部廃止・一部存置
⇒21法律(特許法、自衛隊法、国民年金法、労災保険法、国税通則法、公害健康被害 補償法など
〇全部存置
⇒28法律(電波法、生活保護法、国家校務員法)
第2 公正性の向上
1 審理員に関する規定の整備
旧法では、審査請求の審理を行う者に関する規定がありませんでした。原処分に関与した職員が審査請求の審理を行うこともあり得る状態になっていました。改正法ではこれを改め、職員のうち原処分に関与しない者が、審理員として両者の主張を公正に審理するものとされました(9条)。
2 行政不服審査会等への諮問制度の導入
改正法では総務省に行政不服審査会が設けられました(67条)(地方自治体では共同設値・他団体委託・事 件ごとの設置が可能(81条))。審査請求に対する審理員意見書の提出を受けたときは、審査庁は原則として行政不服審査会に諮問を行い、判断の妥当性についてチェックを受けなければならないものとされました。
また、審査請求人 が希望しない場合(不服申立前置なので仕方なく審査請求をしているが、初めから審査請求には期待し ておらず、早く訴えを提起したい場合等)には、諮問を希望しない旨の申出をすることも可能です(43 条)。
3 審査請求人の権利の拡充
旧法では、審査請求人は処分庁から提出された証拠書類の閲覧請求権が認められているのみでした。改正法では新たに謄写請求権が認められ(38条1項)、また口頭意見陳述の際には、審理員の許可を得 て処分庁に質問を発することも認めらました(31条5項)。
第3 行政手続法による新たな救済手段
1 行政指導の中止等の求め
法令に違反する行為の是正を求める行政指導が行われた場合、旧法ではその行政指導が誤りであると思う場合にも、その行政指導自体を中止させる法的手段は設けられていなかったが、改正法では行政手続法36条の2を新設し、行政機関に申出書を提出して、当該行政指導の中止その他必要な措置を求める ことが可能とされました。
2 処分等の求め
また、何人も、法令に違反する事実がある場合において,その是正のためにされるべき処分または行政指導が行われていないと思料するときは、権限を有する行政庁や行政機関に対し申出書を提出して、当該処分または行政指導を求めることが可能とされました(行政手続法36条の3)。
行政不服審査法(平成26年法律第68号)
概要、要綱
、法律
、新旧対照条文
、参照条文
行政不服審査法施行令(平成27年政令第391号)
概要、要綱
、本文・理由
、参照条文
行政不服審査法施行規則(平成28年総務省令第5号)
概要、本文
、新旧対照条文
建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)
施行日:平成27年6月1日
概要
より合理的かつ実効性の高い建築基準制度を構築するため、構造計算適合性判定制度の見直し、木造建築関連基準の見直し、容積率制限の合理化、建築物の事故等に対する調査体制の強化等の所要の措置を講ずる。
法案の詳細は国土交通省ホームページを参照下さい。
建築:建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)について - 国土交通省
農地法の一部改正・農業委員会等に関する法律の一部改正
施行日:平成28年4月1日
概要
・農業委員の選出方法を公選制から市町村長の選任制に変更(第8条)
・農地利用最適化推進委員の新設(第17条)
・農業委員会をサポートするため、都道府 県段階及び全国段階に、農業委員会ネッ トワーク機構を指定(第42条)
・農地を所有できる法人の要件に関し、農業者以外の構成員の有する議決権の要件について総株主の議決 権等の二分の一未満まで認めることとするとともに、役員の農作業従事要件についてその法人の役員等の うち一人以上の者が農作業に農林水産省令に定める日数以上従事すれば足りることとする(農地法)。
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案:参議院
民法の一部を改正する法律案
平成27年9月24日、衆議院法務委員会に付託。
平成27年9月25日、全会一致で継続審査とする旨が議決。