条件の成就の妨害等(民法130 条)の改正
条件の成就の妨害等(民法130 条)の改正
平成27年3月31日 民法の一部を改正する法律案が後の宅建士試験に与える影響について定期的に解説します。
新旧対照条文
現行
(条件の成就の妨害)
第130条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
改正案
(条件の成就の妨害)
第130条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
改正案の内容
条件の成就によって利益を受ける当事者が故意にその条件を成就させたときは、現行民法130条の類推適用により、相手方は、その条件が成就していないものとみなすことができるという判例法理(最判平成6年5月31日民集48巻4号10頁)を明文化するものです。
審議の過程においては、条件の定義規定を設ける案や、民法130条の要件に「条件を付した趣旨に反して」という文言を付加する案もありました。例えば、相手方が窃盗の被害に遭った場合には見舞金を贈与すると約束していた者が、相手方の住居に侵入しようとしている窃盗犯を発見して取り押さえたと
しても、それをもって条件の成就を妨害したと評価するのは適当ではないところ、「故意に」というだけでは、こうした事例であっても要件を満たしてしまうことになってしまうという指摘があることを踏まえたものでした。
しかし、国会に提出された最終案にはこれらの規定は明文化されませんでした。
宅建試験への影響
宅建試験において条件はわりとよく出題されています。特に今回改正案となっている民法130条や期待権の処分が定められている129条は、不動産売買の媒介契約における報酬に付加する条件との絡みで事例問題で出題されています。
今回この129条が改正されているので、条文レベルですぐに出題される可能性が高いと思います。内容的にはこれまで定着していた判例法理が明文化されただけなので実務に影響を与えません。