田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

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市街化調整区域で開発行為をしたら自動的に用途地域が指定されるの?

Q.市街化調整区域で開発行為をしたら自動的に用途地域が指定されるの?

 

A.そのような制度はありません。ただ、知事は開発許可の際に建ぺい率等の建築規制を定めることができます。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

 

開発許可制度とは?

都市における無秩序な市街化を防止し、市街地の環境水準を向上させるため、開発行為や建築行為を都道府県知事等の許可制にしたものです。
昭和30年代以降の急激な高度成長は、人口と産業の都市への集中を招き、道路・公園・下水道等の都市施設さえも備えていない不良な市街地の出現を招きました。そこで、この社会問題の解決を図るため、昭和42年に現在の都市計画法が制定されました。都市計画区域に優先的に市街化を図る区域として市街化区域を定め、当面の間市街化をストップする区域として市街化調整区域を定めるという区域区分の制度を導入しました。市街化区域での開発行為は良好な市街地として備えるべき基準を満たしていれば許可し、市街化調整区域の場合は原則として許可しないことで、右の問題の解決を図りました。

 

国土交通大臣が許可することもあるの?

ありません。都市計画法上、開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(政令指定都市または中核市の区域内の場合はその市長)の許可を受けることになっています。たとえ工事の規模が大きくなっても国土交通大臣の許可を受けるという仕組みにはなっていません。

 

開発許可を受けた後の土地を購入したら工事を引き継げるの?

開発許可を受けた者からその開発区域内の土地の所有権その他開発行為に関する工事を施行する権原(権利があることを正当化する原因という意味)を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、その開発許可を受けた者が有していた開発許可に基づく地位を承継することができます。開発許可を受けた地位は、一身専属的な性格を持つ地位なので、開発許可を受けた者からその開発区域内の土地の所有権その他その開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者といえども、開発行為を行うためには、本来あらためて開発許可を受けるべきです。しかし、事務の簡素化を図るため、許可に代えて開発許可権者の承認をもって足りることとされています。

開発許可を受けた後に工事を廃止する場合も許可が必要?

許可を受ける必要はありません。ただし、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。しかし、工事をむやみに中途で廃止すると、その周辺の地域に土砂の流出、溢水等の被害を及ぼしたり、公共施設の機能を阻害したりするおそれがあるので、制度の仕組みとしては、廃止することがないように許可基準として、事業者の資力信用、工事施行者の工事施行能力を審査することになっています。

 

市街化調整区域で開発行為できるの?

できます。ただ、市街化調整区域には、市街化区域のように用途地域やそれを前提とした特別用途地区、高度地区、高度利用地区などの建築規制等が定められていません。したがって、都道府県知事は、市街化調整区域のように用途地域の定められていない土地の区域において開発許可をする場合には、必要に応じて(工事の規模が大きい場合)、その開発区域内の土地について、建築物の建ぺい率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができるようになっています。先行的に用途地域における建築規制に似た規制をかけるということです。なお、右の建築制限が課せられた区域が、後に市街化区域に編入されることがあります。市街化区域になれば必ず用途地域やその他の地域・地区の指定がされますので、開発許可の際に行った建築規制は効力を失います。

 

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 17】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止するときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  2. 二以上の都府県にまたがる開発行為は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
  3. 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けることなく、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。
  4. 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。
正解:1

 

  1. × 開発許可を受けた者が開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません(都市計画法38条)。申請時のように許可を受ける必要はありません。
  2. × 2つ以上の都府県にまたがる場合には国土交通大臣の許可を受けなければならないという規定はありません。
  3. × 相続その他一般承継人のように(都市計画法44条)都道府県知事の承認を受けることなく地位を承継できるわけではありません。
  4. 〇 問題文の通りです。市街化調整区域等の用途地域が定められていない場所であっても相当規模の開発行為をする場合に先行的に建築規制をかけるための制度です。

 

  

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