田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

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新ナニワ金融道と法律論

昨日、フジテレビで放送されていましたね。帰宅後、録画された動画を見ました。

 

ナニワ金融道は、漫画、それに解説を加えたような本、ドラマシリーズ、すべてを見ている大好きな作品。

 

漫画のほうの作者である青木雄二氏は、思うにとても賢く、えげつなさの中である思想を伝えたいという思いを感じました。

 

知っていますか?

 

青木雄二氏は、バリバリの共産主義思想の持ち主。生前の彼を公演に呼ぶと、3時間くらい黒板を使いなが、教条的な共産主義思想を熱弁し、カールマルクスの「資本論」を強調していました。

 

漫画の執筆を辞めた後は講演なども引き受け、一度それがドキュメンタリー番組で取り上げられたことがありました。大好きな作品の1つだったので、当時リアルタイムで番組を見たことを覚えています。おそらく、講演を依頼した企業は、漫画のような面白おかしな事例話や体験談などを期待したのでしょうが、彼が講演した内容は教条的で原理的なマルクス思想だったようです。参加した社員のインタビューのシーンもありましたが、何と答えてよいのか困惑して疲弊した顔が印象的でした。

 

青木氏がお亡くなりになった後のこの番組は、「新」という文字がついて、それまでとはかなり異なる内容になりましたね…。

 

さて、今回の新ナニワ金融道の内容は、一生懸命?以前のような法理論を駆使した展開にした感じですが(笑)、詰めが甘いような気もします。

 

孫野手建設の営業譲渡?

 

久しぶりに営業譲渡なる言葉を聞きました。

たしかに、商法にはまだ営業譲渡なる言葉が残っているので間違えではないのですが、10年以上前に会社法が創設されて以来、会社における営業資産の譲渡を「事業譲渡」と呼ぶようになっているので、個人企業でもない限り最近では「営業譲渡」なる言葉はあまり使わないなあ。

 

娘の洋子による新会社設立?

 

父親が経営する会社の900万円の借金を踏み倒すため、娘の洋子が新会社を設立するシーンがありました。実務的にもよくある話ですが(笑)、日程的にも状況的にもかなり無理があるような気がした。

番組では、支払期限が1週間、さらに4日?だったかな、期限の猶予があったような気がする。

 

その間に、娘の洋子は、土壺金融から入れ知恵され新会社を別の場所に設立し(しかもきれいなオフィスビル)、従業員もそこで働かせていた(笑)。

どんなに早くても会社を設立するには一週間はかかります。法務局の登記申請後に内容に誤りがないか確かめる猶予期間をおくからです。番組のようにゼロから設立ってことになれば、定款を作成し、それを公証人役場で認証してもらい、資本金等の証明手続のため新たに銀行に口座を開設しなければならないし、とても4日でできる事務作業ではない。

さらに、通常は?、借金踏み倒すための仮装の会社設立の場合は場所も変えず、従業員も変えずに行うのが普通。しかし番組では場所を移転して、見るからに新しいデスクや備品がそろっている広いオフィスになっていました。場所が判明しませんが、都心であれば賃料40~100万円/月くらいのオフィスに見えました。オフィスの賃貸借契約ともなれば、保証金等の額は半年から1年(高層ビル等の場合は1年くらいの保証金が必要な場合も)になります。

きちんと看板等も付け替えていたので、あの新設会社設立には、①定款作成20万円、②公証人認証に5万円と印紙税4万円(電子定款は除く)と登録免許税15万円程度、③保証金300万円前後、④賃料の2か月分前払い100万円前後、⑤二番抵当権設定費用にかかる司法書士に支払う手数料3万円以上と登録免許税(債権額の0.4% 番組では更地だったので高額な税金です)、、、

とざっと見積もっても900万円の債務の返済ができずに行うには割が合わないし、時間的に無理な行動かと・・・。

普通は?こういった借金の踏み倒しの方法として新会社設立を行う場合は、水面下で綿密な段取りを数か月前から行い、一気に事を起こして銀行等の金融機関を欺きます。

 

過払い金による債務不存在と抵当権の消滅

 

この場面は面白い!と思いました。

帝国金融がその譲渡を受けた一番抵当権が、過払い金による債務不存在により消滅していたとして、二番抵当権者である土壺金融が上昇原則により一番抵当権者に、そして担保権実行または任意競売で、、、という算段はなるほど!と思った瞬間。

 

ただ、その後の展開で、この点がうやむやになって繋がらないところが詰めの甘さを感じてしまう。

最後は、借金を踏み倒すために設立した新会社が空手形を発行して、取引先に割り引いてもらって現金を作る(笑)。どこぞの世界に、取引先を欺いて若い娘が社長になり、しかも社長は業務に専念せずに夜は風俗で働く会社で(しかも番組では街金の社員である仲居君が同伴して金策に走っていたw)、空手形で現金をその場で貸す人がいるのか。

そもそも、数日前に設立された怪しい会社が約束手形を発行する、、、

 

親子の縁を切ったから法的に責任を負わない

 

孫野手建設の元社長とその娘の洋子。洋子が仮装の新会社設立時に、帝国金融の灰原、桑田の問い詰めに対して

 

「私と父は親子の縁を切ったので、法的に、私の作った会社と父の作った会社は無関係です。」

 

的な発言をしていた。そもそも、親子といえども、未成年者でない限り、財産的な部分は別個独立であり、親の会社と子供の会社が同一視されるということは法的にはありません。

 

そもそも、法的に、親子の縁を切ることはできません!

 

養子の場合ならまだしも、血のつながった実の親子の縁を切ることはこの国の法律では不可能です。

 

 

私がまだ法学部生だった頃、司法試験の勉強の息抜きに、ナニワ金融道を読んだり、ドラマで見たりして、ワクワクしていたものです。それは、法学部学ぶ法律は国家側からの視点であるのに対し、ナニワ金融道で知る法律は現実社会における抜け道的視点だったからです。調べればわかりますが、当時のナニワ金融道で扱われた法律の抜け道は、ことごとくその後の法改正により塞がれているものばかり。。。ということは、それだけ当時の内容はリアルであり、法理論上も解釈ではどうにもならないものばかりだったということです。

 

次回の新ナニワ金融道を楽しみにしています!

 

 

ナニワ金融道オフィシャルサイト↓↓↓

http://www.fujitv.co.jp/nanikin/index.html

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