田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

宅建士試験&賃貸不動産経営管理士試験の受験に役立つ情報を提供します。

住宅密集地に家を建てる場合、燐家に接して建てられるの?

Q.住宅密集地に家を建てる場合、燐家に接して建てられるの?

 

A.防火地域又は準防火地域内に建てる場合は外壁を耐火構造にすれば隣地境界線に接することができます。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

建築基準法とは?

土地を所有していたとして、それがいくら自分のものだといっても、例えば閑静な住宅地に大規模な遊戯施設を建てては暮らしやすい環境とはいい難いでしょう。または、スペースがもったいないあまりに敷地いっぱいに建物を建てれば、通風や日照が確保できず、防火の面から見ても良くない場合があります。そこで、建築物の敷地、構造、設備および用途に関する最低の基準を定めることによって、建築物の利用者自身あるいは近隣住民の生命、健康および財産を保護することを目的として、建築基準法が定められています。

 

住宅密集地は特別なルールが?

粋な江戸の火消しが時代劇などによく登場します。彼らの仕事は実際に火を消すというよりも、火が隣の家に燃え移らないようにする活動だったようです。つまり、隣の家を壊して延焼を防ぐのが彼らの仕事だったわけです。ただ、現在でも木造建築が主流である日本では、ひとたび火災が起こると延焼の危険が高いのは、昔と変わりがありません。そこで、建築基準法では、延焼を極力最小限に抑えるための工夫がされています。それが、防火地域と準防火地域という地域地区で、都市計画区域内の特に住宅密集地で指定されています。

 

防火地域内・準防火地域内の規制

防火地域内においては、階数が3以上であり、または延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物であっても耐火建築物または準耐火建築物としなければなりません。それに対して、準防火地域内では、地上4階以上か延べ面積が1,500㎡を超える建築物は耐火建築物にしなければなりません。また、延べ面積が500㎡を超えて1,500㎡以下の建築物は、準耐火建築物でもよいことになっています。さらに、地上3階建ての建築物は、準耐火建築物よりも規制がゆるやかな「技術的基準に適合する建築物」でもよいことになっています。

 

大規模な木造建築物には延焼を防止する工夫が必要?

延べ面積が1000㎡を超える建築物は、火災防止のための防火壁を1000㎡以内ごとに設けなくてはなりません。ただし、この規制は耐火建築物や準耐火建築物には適用されません。ですから、実際はデザイン性やトータルなコストの面から、耐火建築物や準耐火建築物とることが多いでようです。

 

大きなビルには非常用のエレベーターが?

建築物に設ける昇降機は、安全な構造で、かつ、その昇降路の周壁及び開口部は、防火上支障がない構造でなければなりません。また、高さ31mを超える建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機を設けなければなりません。ちなみに、なぜ31mと半端な数字になっているのでしょうか。それは、1919年4月に公布された市街地建築物法に由来します(建築基準法の前身)。1919年ではまだメートル法を基本とする度量衡法の改正前のため尺貫法を長さ(高さ)の基準としていました。尺貫法では、1尺=0.303メートル、100尺=31メートル(30.3m)となります。後に成立した建築基準法もこの名残りがあるようです。

 

避雷設備や天井の高さ等も決められている?

高さ20メートルを超える建築物には、有効に避雷設備を設けなければなりません。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においてはその必要がありません。また、居室の天井の高さは、2.1メートル以上でなければならなりません。この天井の高さは、室の床面から測り、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによります。さらに、屋上広場または2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁、さくまたは金網を設けなければなりません。各階のバルコニーに設置する必要まではありません。
建築基準法では、詳細な規定が数多くあります。これらの数字を正確に暗記していないと宅建試験に合格できません。暗記が苦手という方は、語呂合わせを活用したり、声に出して条文を読んでみるとよいでしょう。


(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 18】 建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 防火地域にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。
  2. 高さ30mの建築物には、原則として非常用の昇降機を設けなければならない。
  3. 準防火地域内においては、延べ面積が2,000㎡ の共同住宅は準耐火建築物としなければならない。
  4. 延べ面積が1,000㎡を超える耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。
正解:1
  1. 〇 問題文の通りです。
  2. × 30mではなく31mです。
  3. × 準防火地域内の延べ面積が2,000㎡の共同住宅は耐火建築物としなければなりません。
  4. × 耐火建築物の場合はこのような制限はありません。

  

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市街化調整区域で開発行為をしたら自動的に用途地域が指定されるの?

Q.市街化調整区域で開発行為をしたら自動的に用途地域が指定されるの?

 

A.そのような制度はありません。ただ、知事は開発許可の際に建ぺい率等の建築規制を定めることができます。

 

平成28年度宅建試験に出題された問題をピックアップして解説して行きます。

 

 

開発許可制度とは?

都市における無秩序な市街化を防止し、市街地の環境水準を向上させるため、開発行為や建築行為を都道府県知事等の許可制にしたものです。
昭和30年代以降の急激な高度成長は、人口と産業の都市への集中を招き、道路・公園・下水道等の都市施設さえも備えていない不良な市街地の出現を招きました。そこで、この社会問題の解決を図るため、昭和42年に現在の都市計画法が制定されました。都市計画区域に優先的に市街化を図る区域として市街化区域を定め、当面の間市街化をストップする区域として市街化調整区域を定めるという区域区分の制度を導入しました。市街化区域での開発行為は良好な市街地として備えるべき基準を満たしていれば許可し、市街化調整区域の場合は原則として許可しないことで、右の問題の解決を図りました。

 

国土交通大臣が許可することもあるの?

ありません。都市計画法上、開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(政令指定都市または中核市の区域内の場合はその市長)の許可を受けることになっています。たとえ工事の規模が大きくなっても国土交通大臣の許可を受けるという仕組みにはなっていません。

 

開発許可を受けた後の土地を購入したら工事を引き継げるの?

開発許可を受けた者からその開発区域内の土地の所有権その他開発行為に関する工事を施行する権原(権利があることを正当化する原因という意味)を取得した者は、都道府県知事の承認を受けて、その開発許可を受けた者が有していた開発許可に基づく地位を承継することができます。開発許可を受けた地位は、一身専属的な性格を持つ地位なので、開発許可を受けた者からその開発区域内の土地の所有権その他その開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者といえども、開発行為を行うためには、本来あらためて開発許可を受けるべきです。しかし、事務の簡素化を図るため、許可に代えて開発許可権者の承認をもって足りることとされています。

開発許可を受けた後に工事を廃止する場合も許可が必要?

許可を受ける必要はありません。ただし、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。しかし、工事をむやみに中途で廃止すると、その周辺の地域に土砂の流出、溢水等の被害を及ぼしたり、公共施設の機能を阻害したりするおそれがあるので、制度の仕組みとしては、廃止することがないように許可基準として、事業者の資力信用、工事施行者の工事施行能力を審査することになっています。

 

市街化調整区域で開発行為できるの?

できます。ただ、市街化調整区域には、市街化区域のように用途地域やそれを前提とした特別用途地区、高度地区、高度利用地区などの建築規制等が定められていません。したがって、都道府県知事は、市街化調整区域のように用途地域の定められていない土地の区域において開発許可をする場合には、必要に応じて(工事の規模が大きい場合)、その開発区域内の土地について、建築物の建ぺい率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができるようになっています。先行的に用途地域における建築規制に似た規制をかけるということです。なお、右の建築制限が課せられた区域が、後に市街化区域に編入されることがあります。市街化区域になれば必ず用途地域やその他の地域・地区の指定がされますので、開発許可の際に行った建築規制は効力を失います。

 

 

(2016年度の問題にチャレンジ!)

【問 17】 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。

  1. 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止するときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。
  2. 二以上の都府県にまたがる開発行為は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
  3. 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事の承認を受けることなく、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができる。
  4. 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは、当該開発区域内の土地について、建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。
正解:1

 

  1. × 開発許可を受けた者が開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければなりません(都市計画法38条)。申請時のように許可を受ける必要はありません。
  2. × 2つ以上の都府県にまたがる場合には国土交通大臣の許可を受けなければならないという規定はありません。
  3. × 相続その他一般承継人のように(都市計画法44条)都道府県知事の承認を受けることなく地位を承継できるわけではありません。
  4. 〇 問題文の通りです。市街化調整区域等の用途地域が定められていない場所であっても相当規模の開発行為をする場合に先行的に建築規制をかけるための制度です。

 

  

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