田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

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代理権消滅後の表見代理の(民法112条)の改正

代理権消滅後の表見代理の(民法112条)の改正

平成27年3月31日 民法の一部を改正する法律案が後の宅建士試験に与える影響について定期的に解説します。

 

新旧対照条文

現行

(代理権消滅後の表見代理
第112条  代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

改正案

(代理権消滅後の表見代理等)
第112条
他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う 。

 

改正案の内容

改正案の112条1項は、現行民法112条の規律の内容を維持しつつ、同条の「善意」の意味を明らかにするなど、その規律の内容を明確にすることを意図するものです。同条の「善意」の意味については、「代理行為の時に代理権が存在しなかったこと」についての善意ではなく、「過去に存在した代理権が代理行為の時までに消滅したこと」についての善意であると解すべきであるとの指摘があり、また、判例最判昭和32年11月29日民集11巻12号1994頁、最判昭和44年7月25日集民96号407頁)もそのように解しているとの指摘があることから、後者の考え方を採ることを明確にしています。

 

改正民法112条2項は、現行民法112条と同法110条の重畳適用に関する規律を定めるものであり、判例法理(大連判昭和19年12月22日民集23巻626頁)を明文化するものです。

 

宅建試験への影響

宅建試験において、代理権消滅後の表見代理は頻出分野です。代理業者が破産した場合や、代理権を与える契約が解除されたような場合に、元代理業者が依頼人の不動産を売却するような行為です。

この場合も、表示による表見代理と同様に民法110条の権限踰越の表見代理との重畳適用についての判例法理を条文化しているので、事例問題または条文問題が予想されます。

 

法務省:民法の一部を改正する法律案

 

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