田中嵩二の宅建士&賃貸管理士試験ブログ

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2022年度 宅建試験対策 最新判例

2022年度 宅建試験対策 最新判例

(2021年4月1日~2022年3月31日)

 

複数の不動産を一括して分割の対象とする共有物の分割により不動産を取得した場合における地方税法73条の7第2号の3括弧書きに規定する「当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分」の有無及び額については,分割の対象とされた個々の不動産ごとに,分割前の持分の割合に相当する価格と分割後に所有することとなった不動産の価格とを比較して判断すべきである。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 

固定資産課税台帳に登録された基準年度に係る賦課期日におけるゴルフ場用地(ゴルフ場の用に供する一団の土地)の価格について,同期日において当該ゴルフ場用地の周辺の土地は工場等の敷地となっていたという事実関係の下では,当該ゴルフ場用地の取得価額を附近の土地の価額から評定するに当たり,当該ゴルフ場用地の造成前の状態である塩田跡地としての取得価額を評定していないことを理由として固定資産評価基準の定める評価方法に従って算定されたものということができないとした原審の判断には,固定資産の評価に関する法令の解釈適用を誤った違法がある。

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【事実の概要】

上告人と被上告人は、平成16年11月に婚姻の届出をした夫婦であり、婚姻後同居し、2子をもうけたが、平成29年3月に別居するに至った。

本件は、上告人が、本訴として、被上告人に対し、離婚を請求するなどし、被上告人が、反訴として、上告人に対し、離婚を請求するなどするとともに、不法行為に基づき離婚に伴う慰謝料及びこれに対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

【原審の判断】 大阪高等裁判所 令和2年9月3日

原審は、被上告人の離婚請求を認容し、被上告人の慰謝料請求を120万円の限度で認容すべきものとした上で、要旨次のとおり判断し、上記120万円に対する判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払請求を認容すべきものとした。
被上告人の慰謝料請求は、上告人が被上告人との婚姻関係を破綻させたことに責任があることを前提とするものであるところ、上記婚姻関係が破綻した時は、平成29年法律第44号(以下「改正法」という。)の施行日である令和2年4月1日より前であると認められるから、上記の慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務の遅延損害金の利率は、改正法による改正前の民法所定の年5分と解するのが相当である。

最高裁の判断】

しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
離婚に伴う慰謝料請求は,夫婦の一方が,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由として損害の賠償を求めるものであり,このような損害は,離婚が成立して初めて評価されるものであるから,その請求権は,当該夫婦の離婚の成立により発生するものと解すべきである。そして,不法行為による損害賠償債務は,損害の発生と同時に,何らの催告を要することなく,遅滞に陥るものである(最高裁昭和34年(オ)第117号同37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁参照)。したがって,離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時に遅滞に陥ると解するのが相当である。
以上によれば,離婚に伴う慰謝料として上告人が負担すべき損害賠償債務は,離婚の成立時である本判決確定の時に遅滞に陥るというべきである。したがって,改正法の施行日前に上告人が遅滞の責任を負った(改正法附則17条3項参照)ということはできず,上記債務の遅延損害金の利率は,改正法による改正後の民法404条2項所定の年3パーセントである。
なお,被上告人の慰謝料請求は,上告人との婚姻関係の破綻を生ずる原因となった上告人の個別の違法行為を理由とするものではない。そして,離婚に伴う慰謝料とは別に婚姻関係の破綻自体による慰謝料が問題となる余地はないというべきであり,被上告人の慰謝料請求は,離婚に伴う慰謝料を請求するものと解すべきである。
以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,論旨はこの趣旨をいうものとして理由がある。そして,以上に説示したところによれば,被上告人の附帯請求のうち,不服申立ての範囲である20万円に対する遅延損害金を請求する部分については,本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきである。したがって,原判決中,上記部分を認容した部分を主文第1項のとおり変更することとし,子の監護費用の分担に関する上告については,上告受理申立書及び上告受理申立て理由書に上告受理申立て理由の記載がないからこれを却下し,その余の上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,これを棄却することとする。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 菅野博之 裁判官 三浦 守 裁判官 草野耕一 裁判官岡村和美)

 

  • 最判令和4年1月18日

不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金は,民法405条の適用又は類推適用により元本に組み入れることはできない。

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交通事故の被害者の加害者に対する車両損傷を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権の民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)724条前段所定の消滅時効は,同一の交通事故により同一の被害者に身体傷害を理由とする損害が生じた場合であっても,被害者が,加害者に加え,上記車両損傷を理由とする損害を知った時から進行する。

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宅地建物取引業法3条1項の免許を受けない者が宅地建物取引業を営むために免許を受けて宅地建物取引業を営む者からその名義を借り,当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は,同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして,公序良俗に反し,無効である。

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  • 最判令和3年4月16日 集民 第265号129頁

Aの相続人Yが他の相続人Xに対してAが所有していた不動産についてのXに対する所有権移転登記の抹消登記手続等を求めて提起した前訴において,YがAの遺産について相続分を有することを前提として上記の請求を一部認容する判決が確定し,また,Xが,AのXに対する立替金債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張して,Yに対してその支払を求める反訴を提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言が有効であることの確認をYに対して求める訴えを提起することは,次の⑴~⑷など判示の事実関係の下においては,信義則に反するとはいえない。
⑴ 上記前訴において,Xは,上記不動産はAとの売買等により取得したものであるなどと主張して本訴請求を争っており,その判決においては,上記の主張の当否が判断されたにとどまり,上記遺言の有効性について判断されることはなかった。
⑵ 上記本訴請求はAの遺産の一部を問題とするものにすぎなかった。
⑶ 上記前訴において,受訴裁判所によって上記本訴請求についての抗弁等として取り上げられることはなかったものの,Xは,上記遺言が有効であると主張しており,上記反訴に関しては上記遺言が無効であることを前提とする上記本訴請求に対応して提起したにすぎない旨述べていた。
⑷ 上記前訴において,Xによる立替払の事実が認められないとして,反訴請求を棄却する判決がされた。

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(2020年4月1日~2021年3月31日)

  • 最判令和3年1月22日 集民 第265号95頁

土地の売買契約の買主は,当該売買契約において売主が負う土地の引渡しや所有権移転登記手続をすべき債務の履行を求めるための訴訟の提起・追行又は保全命令若しくは強制執行の申立てに関する事務を弁護士に委任した場合であっても,売主に対し,これらの事務に係る弁護士報酬を債務不履行に基づく損害賠償として請求することはできない。

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 同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において,借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく全債務を完済するのに足りない額の弁済をしたときは,当該弁済は,特段の事情のない限り,上記各元本債務の承認(平成29年法律第44号による改正前の民法147条3号)として消滅時効を中断する効力を有する。

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不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより,上記配当要求における配当要求債権について,差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには,民事執行法181条1項各号に掲げる文書により上記債権者が上記先取特権を有することが上記手続において証明されれば足り,債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく売却代金の配当又は弁済金の交付が実施されるに至ったことを要しない。

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請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし,他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に,本訴原告が,反訴において,上記本訴請求債権を自働債権とし,上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許される。

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請負人である破産者Aが,その支払の停止の前に,注文者Yとの間で複数の請負契約を締結していた場合において,上記の各請負契約に,Aの責めに帰すべき事由により工期内に工事が完成しないときはYが当該請負契約を解除することができるとの約定及び同約定により当該請負契約が解除されたときはYが一定額の違約金債権を取得するとの約定があるという事実関係の下では,YがAの支払の停止を知った後に上記の各約定に基づき上記各請負契約のうち工事が未完成であるものを解除して各違約金債権を取得したことは,破産法72条2項2号にいう「支払の停止があったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たり,上記各違約金債権を自働債権,上記各請負契約のうち報酬が未払のものに基づく各報酬債権を受働債権とする相殺は,自働債権と受働債権とが同一の請負契約に基づくものであるか否かにかかわらず,許される。

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  • 最決令和2年9月2日 集民 第264号51頁

担保不動産競売の手続において,最高価買受申出人が受けた売却許可決定に対し,他の買受申出人は,特段の事情のない限り,民事執行法188条において準用する同法71条4号イに掲げる売却不許可事由を主張して執行抗告をすることはできない。

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  • 最決令和2年8月6日 民集 第74巻5号1529頁

家庭裁判所は,財産の分与に関する処分の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができる。

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強制執行の申立てをした債権者が,当該強制執行における債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において,当該強制執行に要した費用のうち民事訴訟費用等に関する法律2条各号に掲げられた費目のものを損害として主張することは許されない。
(補足意見がある。)

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(2019年4月1日~2020年3月31日)

 固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において,各筆の宅地の評点数は,画地計算法の適用により算出された当該画地の単位地積当たりの評点数に,各筆の宅地の地積を乗ずることによって算出される。

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 所有名義人がAである不動産について,Aを売主,Bを買主とする売買契約,Bを売主,Xを買主とする売買契約,Xを売主,Cを買主とする売買契約が順次締結され,AからBへの所有権移転登記の申請(以下「前件申請」という。)及びBから中間省略登記の方法によるCへの所有権移転登記の申請(以下「後件申請」という。)が同時にされたが,前件申請が申請の権限を有しない者による申請であることが判明して後件申請が取り下げられ,XがB及びCから後件申請の委任を受けた司法書士であるYに対し司法書士としての注意義務違反があるとして不法行為に基づく損害賠償請求をした場合において,Yが,前件申請及び後件申請に用いるべき書面の確認等が予定されている会合に出席し,Aの印鑑証明書として提示された2通の書面に記載された生年に食違いがあること等の問題点を認識していたとしても,次の⑴~⑷など判示の事情の下では,Xとの関係においてYに正当に期待されていた役割の内容や関与の程度等について十分に審理することなく,直ちにYに上記注意義務違反があるとした原審の判断には,違法がある。
 ⑴ Yが後件申請の委任を受けた当時,上記各売買契約並びに前件申請及び後件申請に係る各登記の内容等は既に決定されていた。
 ⑵ Yは,前件申請が申請人となるべき者による申請であるか否かについての調査等をする具体的な委任は受けていなかった。
 ⑶ 前件申請については弁護士が委任を受けており,上記委任に係る委任状には,委任者であるAが人違いでないことを証明させた旨の公証人による認証が付されていた。
 ⑷ Xは不動産業者であり,Xの代表者は,Xの依頼した不動産仲介業者等と共に上記会合に出席し,これらの者と共に上記問題点等を確認していた。
(意見がある。)

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 被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について,使用者に対して求償することができる。
(補足意見がある。)

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相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において,他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときは,民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額は,当該分割の対象とされた積極財産の価額である。

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